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花菖蒲と自然保護について

広島県  河野 晃


 久しぶりに投稿させていただきます。前に投稿した通りダムの建設が始まり、水没およびそれに伴う付け替え道路などにより、大部分の田畑と山林を失い、花菖蒲の作付け面積も少なくなりました。育種したオリジナル品種などを含めて四十数種くらいありましたが、知人や親戚などに預かってもらったりして、各品種を少数づつ残してはおりましたが、工事用道路や排水工事のため埋められそうになったので、急遽その場所から移植しました。しかし狭い畑に密植したので、後で分類するのが大変だろうと思います。 ノハナショウブの自生地も殆ど失いましたが、絶滅危惧植物であるキキョウ科のヤチシャジンが自生している小範囲の場所では、わずかながら残されているそうです。


そのヤチシャジンの件ですが、この植物は国内では愛知、岐阜、岡山県西部、広島県東部にのみ自生しているそうですが、『レッドデータプラン』(岩槻 邦男・加藤 辰己著)によりますと、「愛知県と岐阜県ではレッドデータブックには絶滅寸前となっているが、ここ数年相当注意して探索したにもかかわらず確認できず、実際には絶滅したのではないかよ思われる。中国地方でもほとんど絶滅状態である。」(一三一項)と記してありますが、愛知県岐阜県にお住まいの方に、その実状をお知らせ頂ければ幸いです。 現在着々とヤチシャジンの保護対策が行われておりますが、福富ダム工事が遅れるのが何だか申し訳ない気もします。広島市の植物園の指導を仰ぎ、種子繁殖による増殖を試みようと考えております。