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 故 角田公明氏を悼む

                    理事長 椎野昌宏  
 
 平成15五年10月25日私たちが敬愛する副会長の角田公明氏が亡くなられました。氏は大正10年四月二八日に現在の地、横浜市都筑区折本町に生まれました。折本家は明治元年より同地で居をかまえた旧家で、学卒後横浜金沢の軍需工場で技術者として働き、第二次大戦中に徴兵され、インドネシアで終戦を迎えました。帰国後、東洋電機に入社し精密機械技師として活躍されました。定年退社後に勤めていた泰平電気の上司の島野直吉氏(元協会の副会長)の紹介で入会し、花菖蒲の栽培を始めました。そして昭和六三年六月に平尾秀一会長急逝後、理事長、副会長などを歴任され今日に至っています。特に大黒柱であった平尾先生亡き後の協会運営の維持と安定に持ち前の誠実且つ緻密な人柄でその力を発揮されました。

 花菖蒲の栽培につきましては、会報の第25号に書いておられますが松平菖翁の古典的名作の「宇宙」の増殖に努力され、たくさんの人に分譲されました。私も数回お宅に伺いましたが、敷地内にある工場の屋上で鉢栽培を、まわりの畑で露地栽培をとたくさんの花菖蒲が開花し見事でした。

 園芸関係以外では地元の折本町の町内会長を12年間も勤められたり、折本ばやしの獅子舞の中心として活躍されるなど郷土のためおおいに貢献されました。花菖蒲観賞旅行などの旅先の宴会で得意のノドを聴かせたり、軽妙にダンスのステップをみせたりで、とても愉快な側面を垣間みせてくれました。最後に氏の日本花菖蒲協会に対する長年の功績に感謝するとともに、謹んでご冥福をお祈りします。