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 夜の花菖蒲鑑賞会
      館林花菖蒲花正会オープニングセレモニーより

         館林市 東 秀光

第3回花菖蒲お座敷鑑賞会

  「行灯のもと、寝るのを惜しむほどと賞される花菖蒲は、夜が最も美しい姿を見せてくれます」・・・

 館林花菖蒲「花正会」(正田啓子会長・会員67名)主催の第三回花菖蒲お座敷鑑賞会が、平成15年6月18日から6月22日までの5日間、旧館林藩主秋元別邸で開催されました。  本年は日本花菖蒲協会様からもご後援
をいただきまして、ここに誌上をお借りし厚く御礼もうしあげます。毎年、オープニングセレモニーは趣向を凝らしておこなつておりますが、本年は、お座敷鑑賞会一般公開の前日の6月17日、夜7時から、関係者、後援協力者、会員、報道機関多数ご臨席のもと「夜の花菖蒲鑑賞会」を挙行いたしました。

 夜の鑑賞会は、初めての試みで、はたして五基の行灯のみの明るさで、花が鑑賞できるのかと不安がたくさんありましたが、ご来賓各位が揃った午後7時30分、秋元別邸の照明を全て消灯、行灯のみの点灯式をおこないました。点灯の瞬間、金屏風の前に浮かびあがった十五鉢の花菖蒲に、参加者全員が歓声をあげて、感動の拍手をしていただけました。煌びやかの中に、厳粛に整然と並ぶ花、一鉢置きに白花を配し、紫花も浮かびあがって見えます。江戸時代後期に武士の間で、このように「寝るのを惜しむごとく、刻々と変化する花弁を、酒食をともにして、贅沢ともいえるこのような鑑賞をしていた」ことに、同感を得ました。

 今宵、参加された方々に作法説明班の会員が、紋付袴姿で、陳列法や、二日目の深夜に花弁が最も極大となる変化を、ただいまからご覧いただけますと、付け加えますと、ますます会場内の雰囲気は最高潮に達しました。余韻のさめないまま、鑑賞の後の、花を前にしての抹茶とお饅頭の接待となり、よもやま話に、しばし浸かっていただきました。夜間ということもあって、関係者約200名のみの鑑賞会となりましたが、「初めて、このように鑑賞させていただき、花菖蒲の美の世界に浸ってしまいました。」 「夜が美しいと聞いてきましたが、これほど綺麗とは、・・・・・ほんとうに素晴らしい」等等、成功裡に終了いたしました。
 企画開催に先立ち、主催者側は、行灯の調達をおこないました。市販されているもの、さらに江戸時代後期の再現とあって、慎重に物色しましたが、皆無でした。そこで、会員の二人が作ることになり、二十日間かけて、設計から着色、障子張り、配線にいたるまで、まさに、「作業のために寝るのを惜しむほど」深夜まで、手作りで製作していただきました。檜に着色を2回塗って、古めかしくするなど頭のさがる思いでした。灯りは20wの裸電球を施し、違和感のないように配線をみえないように工夫するなど立派に仕上がりました。翌6月18日午前9時30分からは、一般公開となりましたが、昼間でもこの行灯を片側に2基ずつ、床の間に1基点灯し演出をいたしました。

 会員が1年間手塩にかけた鉢植を毎日、日替わりで陳列し、オリジナルの行灯でお客様をお迎えし、鑑賞作法のご説明のあと、隣室にて、和服姿の会員により、花正会特製饅頭と抹茶の無料接待となります。本年は3回目につき、お見えになったお客様の感想は「昨年よかったので今年は、遠方から親戚・知人を誘って来ました。昨年にも増して素晴らしいです。抹茶もたいへんおいしくいただきました。」等。鑑賞のあとの会話でも感動が伝わってまいります。主催者一同、光栄に存じました。

  特に、本年は、鑑賞会に先立ち6月12日、NHK様のご取材があり、秋元別邸でのリハーサル風景を「首都圏ネットワークニュース」で生中継していただきました。さらに、報道各社の取材があり、会員一同、励みとなりました。

 6月22日までの五日間で、延べ2,500名ものたくさんのお客様に鑑賞していただき「花菖蒲の精」も誇りに感じ喜んでいることと推察いたしております。平成15年の夏の気候は、曇・雨の日が多く日照不足でしたので来年の開花に心配が残りますが、館林花菖蒲「花正会」では第四回お座敷鑑賞会に向けて毎月、例会を開き精進しております。どうぞ、本誌をご覧の皆様、平成16年の鑑賞会には、是非ともご来場、ご批評いただけますよう花正会(かしょうかい)会員一同、心よりお待ちしております。