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 花菖蒲の室内栽培法(その二)

  
              鳥取県東伯郡  山脇 信正
12月下旬の様子
翌1月上旬の様子
2月上旬の様子
3月上旬の様子
平成16年3月9日午前10時
平成16年3月10日午前8時
平成16年3月10日午前10時
平成16年3月9日午後3時

1 はじめに
 会報三十一号で、「花菖蒲の室内栽培法」を掲載させていただいたところ、全国の多くの会員の方からこの栽培法に関する質問や自分で栽培してみたいとの問い合わせが寄せられました。
 開花期間の短い花菖蒲を早く咲かせることによって、長期間花を楽しむため、また、インドアプランツ(室内植物)として身近で手軽にできる栽培法の完成を願って、今回は「室内栽培法、その二」として、その後、試みた室内照明、温度管理、その他新たに試みたこと、また、室内栽培向きの早咲き品種について書いてみました。

2 本植えの時期と植え方について
 この栽培法ですと、三月中頃から花が咲き始めますから、花が終わる三月下旬頃から株分けに入れます。株分けして鉢へ直接本植えします。鉢は、五〜六号鉢に二株〜三株植え込みます。ポット苗を植える場合は、八月末〜九月中旬までに本植えします。出来るだけ小さめの鉢を使用します。余り大きい鉢は、室内に取り込むのに場所をとり適しません。一鉢に植え付ける株数は、最低二本の花を咲かせるために二株〜三株植えます。多花性の品種ですと、二株〜三株植えると花軸が三〜四本上がり賑やかになり、長期間観賞することが出来ます。

3 室内の照明と温度管理等について
[南側に窓のある窓辺で育てる場合]

(1) 夜間の照明は、四十ワット蛍光灯(二本)点灯(八畳間)
・ 午後六時頃〜午後九時頃まで点灯します。午後九時以降は消灯し室内を暗くします。
(2) 夜間の暖房は、石油ストーブ一台を焚きます。(八畳間)
・ 午後五時頃〜午後九時頃までストーブを焚き、室内を十四℃〜十五℃に保ちます。
温度調節の出来る部屋ですと、二十三℃位に設定できると最も理想的ですが、私の家では、そのような設備がありませんので、室内はストーブを焚いても十四℃〜十六℃にしか上がりません。
・ 夜間、午後九時頃から午前五時頃まではストーブ、蛍光灯を共に切ります。その間の室内温度は、摂氏0℃〜三℃くらいに下がりますが、花菖蒲は寒さに強く枯れることはありません。
・ 昼間は、午後五時頃まで無加温です。(寒い地域では加温した方が良いでしょう。)
(3) 従来は、水受けには鉢の受け皿を使用していましたが、発泡スチロールの箱を使用するようにしました。この方が給水や水量の調節がしやすく、また室内に多くの鉢を持ち込めます。
(4) 肥料は、三月〜四月に本植えした鉢は六月頃から与えると株が一層充実しよい結果が得られます。暑い八月は避九月〜十はでは骨粉入りの固形油粕を一鉢に付き十〜十五粒位置肥します。鉢を十二月に部屋へ取り込むとき、悪臭を防ぐために、十一月〜十二月はマグアンプKを施肥します。

4 室内栽培に適した品種について
極早咲きで、草丈の低い品種を選びます。
早野、棚田の藤桜、火影、影法師、飛天、姫野、黒船、淡雪桜、若桜、北洋、桜暦、愛娘、等々

 終わりに
 十二月に室内に取り込んだ鉢は、新春の窓辺で新緑の新芽を伸ばし始め春の息吹を感じさせてくれ心が弾みます。二月下旬頃には、ぼつぼつ蕾みが上がり始め二週間余りで蕾みが色付き、十日ほどでみごとに開花します。
部屋の外は雪景色、室内は花盛り、その情景は花菖蒲の栽培家ならではの喜びと感動を覚えます。
室内への取り込みを少しづつずらせば、三月中頃から六月まで花菖蒲を室内で楽しむことが出来ます。
水や肥料の与え方、部屋に取り込む時期等は、会報三十一号掲載の「花菖蒲の室内栽培法」をご覧ください。