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 平成17年度 日本花菖蒲協会観賞旅行
                

                岡山県倉敷市 山脇 勇

  
滝谷花菖蒲園(上2枚とも)
  
 
平成十七年度の日本花菖蒲協会の観賞旅行は、六月十四日(火)十五日(水)の二日間で、三重県の伊勢花菖蒲園、久居榊原風力発電施設、伊勢神宮、おかげ横町、明和町斎宮トントン花見学、いつきのみや歴史体験館と盛り沢山な日程でした。

 今回は、伊勢神宮でお神楽を観賞するため、男性は背広ネクタイ、女性は派手でないものを着用または持参して下さいとの通知があり、それなりの準備をして集合場所の近鉄、津駅へ向かいました。
 私は観賞旅行に参加させてもらうのは今回で連続三回目ですが、行くまでの計画を立てるのも楽しみの一つです。当日集合場所へ着きますとほとんどの方が揃っており、男性十六名、女性十四名の参加で、まずは最初の目的地、伊勢花菖蒲園へバスで向かいました。左右に広々とした田園風景を眺めながら約二十分で到着、当園はいわゆる花菖蒲園(花菖蒲を愛でながら散策を楽しむ庭園)ではなく広い土地を利用して栽培、展示販売、花苗の出荷を主としている所です。花菖蒲だけでなく多くの食虫植物も栽培されており、興味を惹かれました。
 ここでは丁度花菖蒲の苗の植え付けがビニールポットへ手際よく行われており、使用されている土は籾殻七に山砂三の割合とのことで、全てこの土を使っているそうです。これだと軽くプランターに植える場合は、移動が楽に出来るのではと一つヒントを得た思いです。当園を小一時間見学し、次の目的地へ向かいましたが、早速花菖蒲や食虫植物の苗を注文して、宅急便で送っている方もありました。
 次の目的地の滝谷花菖蒲園の所在地は、奈良県宇陀郡にあり伊勢花菖蒲園から約一時間半、山間部を切り開いて作られた起伏の激しい舗装路を左右に木々の緑や竹林の黄緑を楽しむうちに到着しました。花菖蒲を楽しむには少々蒸し暑い天候ですが、多くの入園者で賑わっていました。花菖蒲をビデオやカメラに収める人、じっくり腰を据えて写生する人と、皆さんお楽しみです。昼食時をかなり過ぎていましたので、ゆっくり見学するのは後回しにして、園内のお座敷で山菜料理をはじめ山の幸をふんだんに盛り込んだ料理をいただきました。蒸し暑かったので食前にいただいた冷たいビールは格別でした。
 理事長の椎野さんのお話では、当園には十二年前に花菖蒲協会の観賞旅行で一度来ているとのことです。
 昼食後、園内をゆっくり見学しましたが、きれいに手入れされ花菖蒲も見頃で一部遅咲きの品種でまだ蕾みだけの一画もありましたが、品種名もきちんと表示され、多くの花を十分見せてもらいました。当園案内のパンフレットによりますと、六百品種 百万本の花菖蒲が栽培されています。他にも時期をずらして、しだれ桜、芝ざくら、てっせん、あじさい、ブルーベリー摘みも楽しめるそうです。十五時頃出発を前に全員喫茶で当園の常務取締役の日下志さんより冷たい飲み物をご馳走になり一服しましたが目の前広がる美しい庭園を眺めながら十二分に満喫した花菖蒲の余韻に浸っていました。 
久居榊原風力発電施設にて
伊勢神宮の参道を歩む
伊勢神宮の花菖蒲の展示
 スケジュールではこの後は今夜の宿舎伊勢神宮会館に向かうようになっていたのですが今回の観賞旅行中大変お世話になりました、日本花菖蒲協会の会員でもあり地元の三重花菖蒲協会の代表でもある落合さん、そして竹谷さん、今井さんのご好意で急遽、久居榊原風力発電施設へ立ち寄ってくれました。
 風力発電は遠目には何度か目にしたことはありますが、すぐ頭の上で高さ五十メートルのタワーに直径五十・五メートルのローターがブンブンと風きり音を響かせていたのには迫力がありました。近くに四基と周辺にも二十基設置されています。標高八四ニメートルの笠取山の頂上近くにあり、しばらく眼下の景色を楽しんだ後いつも思い出に残る写真を撮ってくださる金子さんのカメラに一同集まり、今夜の宿舎へと向かいました。
 伊勢はさすがに花菖蒲所、花菖蒲に限らず今盛りの花菖蒲の鉢があちこちに並べられているのを目にしましたが、神宮会館の玄関前にも飾られていて皆足を止められました。館内の通路には花菖蒲の切り花がきれいに生けられていました。恒例の懇親の夕食会も今回初めて観賞旅行に参加された方のユーモアあふれる自己紹介もあり楽しく和やかな雰囲気の内に解散となりました。

 一夜明けた翌十五日はあいにくの雨模様となりましたが朝食の後一同服装を正し宿舎より五分程の伊勢神宮参拝へ向かいました。
 宇治橋を渡り雨に濡れて煙る参道を前にするとここからはいよいよ神域だと、心のあらたまる思いがしました。垣内参拝後、内宮神楽殿へ進み日本花菖蒲協会祈願の祝詞とお神楽を奏し、雅楽がかなでられるなかでの舞楽を拝見しました。祈願あらたか神楽殿を出ますと、あれほど激しかった雨が花菖蒲に似合う小雨に変わっていました。
 途中の参道に伊勢の花菖蒲愛好家の集い国華会の方々が奉納されている数十鉢の花菖蒲があり、帰りはゆっくり見ることができました。

 一旦宿舎へ帰り、昼食まで少し時間がありそれまで自由時間となりました。宿舎の敷地内にあるバラ園を見たいと思いながら、この時だけは花より団子で伊勢名物の赤福餅に惹かれ本店のあるおかげ横丁へと走ってしまいました。

 観賞旅行も終盤となり、昼食後、明和町のどんど花見学に行きました。どんど花ついては会報33号の31ページに、落合さんが詳しく説明しておられますので、もう一度会報を開いて下さればと思います。少し盛りを過ぎていたのは残念でしたが、ノハナショウブの群落を見るのは初めてなので、目を楽しませてくれました。話は余談ですが私も最近ある場所でノハナショウブが数株花をつけているのを見つけカメラに収めていますが、開発でいずれ絶えてしまうかと思いながらどうすることもできず残念に思っています。明和町のどんど花がこれからも大切に守られることを祈りながら、いつきのみや歴史体験館へ向かいました。

 ここでは館内と斎宮跡歴史ロマン広場十分の一模型解説など、ガイドボランティアによる案内を受けましたが十二単や直衣など本格的な平安装束の試着体験コーナーもありました。案内を受けながらも広場の一画に移植栽培されているノハナショウブの方へ心惹かれてしまいました。
 
 関東方面、関西方面からの会員も、それぞれ帰路に要する時間も迫り、名残を惜しみながらJR松坂駅まで送ってもらい、今回の花菖蒲観賞旅行は解散となりました。今回は盛り沢山なスケジュールでしたので、紙面の都合も考えず長々と書いてしまいました。最後に、いつも楽しい旅行を企画して下さる方、旅行中親身になってお世話して下さった地元の方々、重い写真機材を持ち運んで思い出に残る写真を撮って下さる金子さん。そして前回に続いて今回も幹事をして下さった小山さん、有り難うございました。紙面をお借りしてお礼申し上げます。

「斎宮のハナショウブ群落」ノハナショウブの群落だが、国指定の天然記念物として、この名称で登録された。